映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

マーティン・スコセッシ監督「アリスの恋」470本目

1974年作品。
私はこの頃のアメリカがいちばん「古き良きアメリカ」ってイメージです。
すごく普通ーの人たちが、事故やらなんやらにもまれながら、なんとか明るく暮らしてる。車ではその時代の流行のロックが流れてる。で、離婚した女性にできる仕事は、ウェイトレスくらい。

私が“洋楽”を聞き始めた1970年代に、スモーキーっていうバンドの「アリスは恋人」っていう、古き良きアメリカな感じの曲がチャートに入ってたのを思い出して借りてみたんだけど、関係はなさそうです、多分。

なんか、特筆すべきことがあんまりないんだけど、なんか好きです。この映画。
役者さんも、実はとても良いですね。
ヒロインのアリス役のエレン・バースティンは、元気で負けない、みんながそうありたいと思うアメリカの女性。男の子みたいなジョディ・フォスターもすごいけど、息子を演じたアルフレッド・ルッター君もクソ生意気でいい。ハーヴェイ・カイテル演じる浮気男が、最初は満面の笑みを浮かべて、その後豹変するのもすごい。クリス・クリストファーソンは、強い女性にぴったりの心の大きな男。ヒワイなジョークばっかり言うウェイトレス仲間のヴェラを演じたヴァレリー・カーティンも、なんとも親しみがわきます。

疲れたときや傷ついたときに見るといい映画です。