映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

リュック・ベッソン監督「The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛」1299本目

2011年に、なんとフランスで製作された、英語のミャンマー映画。
アウンサンスーチーを演じてる女優さん、きれいで凛として素敵で、ミャンマー系?と思ったら、ミシェル・ヨーですって?確かに同じ顔だけど、役作りがかっちりしていて、ミャンマーの女傑に見えるのがすごい。
エモーショナルで、強くて繊細で。

ただ、映像には力がありすぎて、彼女が素晴らしい女性だったということと、政治的に何が正しいかは別の問題だということを忘れてしまう。たくさんたくさん戦争の映画を見てきて、正しいことと正しくないことなんて無くて、ケンカに負けた方は必ずもっと大きなリベンジを誓う、ということだけのような気がしてる。一度大敗を喫してズタズタにされた人たちが復活して勝利するのは、とてもすっきりするんだけど、彼らにズタズタにされた人たちが同じことを始める。もう私には、絶対的にかわいそうな人たちがいるという想定で、幸せに映画を楽しむことはできない。

フランスでこの映画を製作するという背景は何だろう?ビルマは仏領インドシナではなくて、英国領だったみたいだけど、むしろそうでないとこの映画は撮れないのかな?