映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

トム・フーパー監督「リリーのすべて」1426本目

エディ・レッドメイン、憑依型の名優だなぁ。最初は、ええー女には見えないーと思ってたのが、だんだん見えなくもなくなってくる不思議。

しかしこの映画で重要なのは妻の愛、または強い母性本能(どっちにしても愛)だ。ベン・ウィショープーチン顔の幼なじみハンスの友情も温かいけど。

実話では、アーウィンは生まれつきもっと女性的なルックスだったようだし、妻がレズビアンだった可能性も示唆されてた。手術は「母になるため」子宮を移植したあとの拒絶反応が急激な体調の悪化につながった、とも。
性別は細胞ひとつひとつのDNAに刻み込まれてるんだから、子宮と卵巣があっても妊娠できるわけないのに…と思う自分は今の医学の常識にとらわれてるだけで、実は男が子供を産む可能性もあるんだろうか?

性同一性障害って「障害」なのかな。でも自分が、なれない何かであると信じることが「障害」なら、性別以外にもいろいろな同一性障害があるんだろうか。

この映画は、普遍的な、そのときの常識に反発して自分の何かを通さなければならない人の映画だ。