映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

若松孝二 監督「キャタピラー」1578本目

やっと見た。
えぐいとか気持ち悪いという感想が多い。何を気持ち悪いと感じるのか。
四肢を無くして言葉も発せずに制欲だけ旺盛な”軍神”か、それとも、彼に対して昔の虐待の復習をする妻か。
それより、この映画が作られた2010年からの7年間って身体障害者のマスコミでの取り上げ方がかなり変わったという意味では大きな7年間で、今これを”気持ち悪い”ということはpolitically incorrectで言えないんじゃないかとも思う。
映画としては、戦争によって奪われた若い夫婦という不幸と、”うまずめ”として虐げられた妻と”軍神”との逆転を残酷に描きたかったんだろうけど、今だと”どんな人間にも巣食っている悪魔のような征服欲や復讐心”、”差別意識を覆い隠すための崇拝”の方に着目されちゃうんじゃないか。

バリバラに出てる人たちに、この映画を見て何を感じるか聞いてみたいです。

キャタピラー [DVD]

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