続けて見ると、見えてくるものがあるなぁ。
この作品では西島秀俊がナレーションをやっている。主役のトニー滝谷はイッセー緒方、美しく壊れた妻を宮沢りえ。彼女は「ドライブ・マイ・カー」のセックス中毒(のような感じ)のかわりに洋服を狂ったように買いまくっている。生前ほかにも男がいたらしい気配も「ドライブ・マイ・カー」と同じだ。いやになるくらい、村上春樹は同じことを何十年にもわたって書き続けている。
続けて見ると重畳的に、重なってくる、畳みかけてくる。重い。
この作品は76分しかなくて、監督が徹底して「余分なものを足さない」演出をするとこうなる、というお手本なのかも。でも、足そうが足すまいが、まとめて見ればその辺は薄まるのだ。
村上春樹の持つ底なしで永遠の闇に引き込まれそうになってる。しばらく海の底を漂ってから、浮上するのを待つしかないか…。