この映画、前に見た時は突っ込みどころしか見つけられなくて、感想も書かなかった。でも今は気になるところがたくさんある。
沢田研二主演の「太陽を盗んだ男」の原案・脚本(※日本語)だったレナード・シュレイダーがこの映画の原作者。日本で5年間大学講師を勤め、三島由紀夫とも交流があった、っていうプロフィールを読んで、そっちからこの映画に改めて興味が出てきました。
5年住んで日本語がわかっても、日本文化の理解は”エキゾチック”で私とは違う。その違いが何より面白い。ただ、日本に行ったこともない(あるいは米軍基地しか知らない)人が想像する奇妙奇天烈な日本(ex.「八月十五夜の茶屋」)に比べるとリアリティが高いです。いかにもありそうな日本のスナックを岸恵子が経営してたり。
岡田英治はよくテレビドラマに出ていたダンディなおじさんだったのが、今は私の好きなアラン・レネ監督の「二十四時間の情事」で、若くて美しいエマニュエル・リヴァ(「愛、アムール」で知った)と恋をしてた俳優だ。その15年後に撮られたのがこの作品。
ロバート・ミッチャムと高倉健はいつもの姿のままで、日米組織暴力の場にしっくりきてる。貫禄ある。高倉健の英語が自然で、予想を超えてうまい。この人ハリウッドに行ってもヤクザ俳優として大成したんじゃないかしら…。
映画の多くの部分が彼らの闘争(かなり日本ヤクザ寄りのスタイル)に割かれていますが、男と女、人情と義理、といった古今東西の任侠映画の普遍的なテーマが日本の伝統的な風物の中で展開されるのが面白かったです。