映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ラナ・ウォシャウスキー監督「マトリックス レザレクションズ」3384本目

とても、説明的な映画だった。後日譚を描き始めるための前提となる設定を、さまざまな人たちが口頭で詳しく説明してた。だいたいは把握できたけど、感覚じゃなくて頭で一生懸命ついていかないといけなくて、バカのように口を開けてただただ見入ってしまった最初のマトリックスが懐かしい。

長い年月を経てくたびれたネオ、という設定はいいけど、フルパワーで復活!というほどの大きな変化は、なかったかな。「シン・モーフィアス」は、理解はしたけど重厚さが物足りなくて、彼をモーフィアスと認識しながら見ていくのが難しい。(ローレンス・フィッシュバーンはアメコミのキャラみたいに個性的だったからね)

バグス(演じてるのはジェシカ・ヘンウィック、若いころのレベッカのNOKKOに似てる気がする)はとても良いですね。トリニティほどクールじゃないけど賢くて熱い。

シン・”エージェント・スミス”は悪者というより電気自動車の会社のCEOか何かのように見える。悪者に見えないことはないけど、悪意のカタマリのような(アメコミのキャラみたいに)素晴らしいヒューゴ・ウィービングとどうしても比較してしまって、薄いような、悪意が隠されていて見えないような印象です。

問題は、現実が作り物で、その上の現実だと思ったものも作り物で…というメタメタ構造には、「リング」「らせん」シリーズで少し疲れてしまって以来、素直に楽しめないことだ。マトリックスの世界はけっこう好きだったはずで、新しい映像がたくさんあるのは嬉しいんだけど、すべてに既視感(まさにデジャヴ)があったなぁ…。次作に期待してます。

以下は、印象に残ったことのメモ:

・トーキョーは「リトル・トーキョー」みたいにキッチュだった

・「Mojo rising」が「力が戻ってきた」って訳してあった。そういう意味だったのか。アメリカ人が割と使う言葉だけど、あんまりちゃんと理解できてなかった。(ネオがアンダーソンをどグワッ!と反撃した場面で)

・クジャクという名のマンタ型の飛行船