映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ペドロ・アルモドバル 監督「バッド・エデュケーション」2037本目

同じ監督の「オール・アバウト・マイ・マザー」も割に複雑で、(なぜそう来る?)という不思議な構成の映画だったけど、この映画もとても不思議な作品です。 タイトルは原題のままだけど、映画のイメージから遠すぎるし、センスのいい映画だと予想できないので、何か気の利いた邦題をつけて欲しかった・・・。

ガエル君はかなり無骨な男っぽい顔立ちだと思ってたのに、サハラ嬢の美しさには図らずも見とれてしまいました。これは新しい観点です。美脚にピンヒールで早足に立ち去る後ろ姿まで美しい。

教会の中で行われていた悪事の話って最近ほんとによく聞くけど、イグナチオもアンヘルエンリケも、おそらく人格形成にかなり影響はあったんだろうけど、獣のように、自分の欲望に忠実に生きていきます。一生内向して一人語りを続けずにいられないロシア的ドロドロと対極にある、ラテン的人間肯定が強烈です。普通の男性がいともたやすく同性愛の世界に入っていくのをこうやって見ていると、人間って根源的にはバイセクシュアルなのかなと思う。「生まれ変わり」ってよく言うけど、他の生物に生まれ変わったりするくらいなら異性のこともあるだろうし、状況に合わせてその時の性を受け入れていて、それがうまくいかない人がLGBTになるんじゃないのか。

そんなイグナチオとアンヘルと神父でしたが、この強烈なストーリーのどこまでが「半自伝」なのか・・・。ドラッグ漬けになってる人のオーバードーズによる死亡ってミュージシャンとかには非常によくある話だけど、こういうケースも実際にあったんだろうか・・・。

サハラがオカマのシンガーに演技指導を求めにいく「サラ・モンティエル」ってどんな歌手だったんだろう。サハラが歌った歌は何て曲?YouTubeに彼女の公式チャンネルのようなものがあるので、あとで調べてみよう。