アイデアは既視感がある。でも安藤サクラ、窪田正孝、妻夫木聡をはじめとする役者さんたちの演技がよくて、ぐいぐいと見せてくれました。出自を偽りたい事情のある人はたぶんたくさんいて、それぞれに深くて暗い物語があるから、まだまだ映画はこのテーマを語りつくせてないと思います。
葬式にやってきた夫の兄(眞島秀和)と、妻(安藤サクラ)とのやりとりとか最高。「写真がないですね」(最初はスルー)「写真とか置かないんですか」「ありますけど」「え、これ弟じゃないですよね」「夫ですけど」「違いますよ」「夫ですよ」「いや全く別人です」「え、そんなに変わりました?」「変わったとかじゃないですよ、違う人です」・・・みたいな、いかにもありそうな、お互いの信じていることのすれ違いが、自然で引き込まれます。
柄本明の癖のカタマリみたいな演技にも持っていかれますね。
ただ・・・一番最後の、妻夫木聡がどこかのバーで他の客と話す場面。あれをどう捉えるか。「蛇足」じゃないか?という気もします。みんなどう思ったんだろう。これから他の方々の感想も読んでみようと思います。