1959年作品。
コントラストの強い白黒映像。泥池に足を取られて、仲間が撃たれて、民間人を撃ち抜いて、もう辛いとか苦しいとかではなくて、生きるか死ぬかしかない。でももう生きていても死んでいてもどうでもいい。たいがいの人が、追い詰められてそういう状態になっていくんだろうと思う。辛いな。
戦争映画のなかでは、「印象派」というのかな。ストーリーを追わせる映画でも、教訓を与えようとする映画でもなく、ただ戦争の”汚れ”のようなものをひたすら画面にぶつけてくる。
細雪を撮る監督が、この映画を撮る。アラン・レネの「去年マリエンバードで」と「夜と霧」を撮るみたいな感じで、きわめて耽美的な人にとっての戦争映画。醜悪な戦争というものに出会っても、それを撮らずにいられない、因果な商売なんだなぁ・・・。