ケヴィン・クライン、やっぱりいいわ。ちょっといい男なんだけど、根本的にだらしなくてダメ。日本でいえば、少し若い頃の近藤正臣かな。しょうもない男だけど、こんな夫がいたら楽しかっただろうな・・・
こういうテーマの映画、アメリカならアンチハリウッドな監督が地味でシリアスな作品にしたかもしれないし、日本ならもう絶望でいじけて大変な映画になりそうだし、韓国なら仁王立ちして二人で号泣して死ぬ映画になったかもしれない(極論)。フランスやイギリスの大人たちは最初から達観してるようで、そういう価値観を見せてくれるだけでもこういう映画っていいなぁと思う。
マティアスはこう見えて絶望を抱えて心は瀕死の男なんだけど、ちゃんと毎日笑い、周囲の人たちを笑わせる。その二面性が悲しいコメディアンみたいでチャーミングです。デイム・マギー・スミス演じる老女は、彼の亡き父の長年の不倫相手。誰もが心に鍵をかけて閉じ込めておいた秘密があって、それが一枚の写真から立て続けにほころびていくんだけど、多分、それぞれの秘密が知られることによってやっと彼らは次の段階に進めたんだね。
ケヴィン・クラインも好きだけどこの映画も好きだな。
人に笑いかけられる優しさがあるから、生きていける・・・。
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