「僕はイエス様が嫌い」、面白かった。新人の尖った作品に感銘を受けたあと、そのまま忘れてしまうこともある。前作の感触をおぼえているうちに次作が見られて嬉しいです。
それにしてもこの画面の美しさ。色調整が絶妙ですよね。印象派の絵みたいに、全体のトーンが少し青っぽかったり。構図も、前作でも書いたけど完璧。完全に落ち着く”黄金比”プラスなにか、惹きつけられるものを追加しているように感じます。それに流れる音楽のセンスの良さ。池松壮亮が車内でいきなりルー・リードでしょ、ほかにも60~70年代あたりのアメリカンロックかな…。当時を知らなくても懐かしいような、切ないような、自分の思い出をたどってるような不思議な生ぬるい心地よさが続きます。もうこれだけで、この監督大好きです。
吃音のあるナイーブな少年と、「月の光」でフィギュアを滑る少女。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」のヌードルズとデボラの出会いみたいです。これは恋をするよなぁ。今そこにいて氷を滑っていることの至福。
すてきな少女と不器用な少年の恋は、どっちも片思いで、季節が変わって、でも久しぶりに再会したらお互いにちょっと嬉しい気持ちになった。
初恋の美しさとか、夢のような画面を見ていると、これは大人が子ども時代をちょっぴり美化しながら思い出すメルヘンなのかなと思うけど、子どもの視点がとても自然なので、そのとき子どもである二人を中心に描いた子どもの映画のようにも思えます。懐かしいような、憧れるような。「僕はイエス様が嫌い」はタイトルからして子どもの映画で、この子どもの視点の存在感がこの監督の映画の魅力であることは確かです。
