映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヨアキム・トリアー監督「センチメンタル・バリュー」4066本目

実にいい映画でした。沁みた。

ヨアキム・トリアーは、こんなにいい作品を作るようになってたのか。過去に「テルマ」「母の残像」を見たけど、ここまで打たれなかったので、それほど期待してなかったけど、深い円熟の境地って感じました。

長年映画を撮っていなかった監督の久々の作品。過去の作品に登場した女の子(次女)。自伝的作品。…で、国は違うけどビクトル・エリセ監督「瞳をとじて」を思い出しますよね?映画の中の女の子をずっと撮影して、その表情のわずかな変化を追っかけ続けるのも。

父と娘の葛藤を描いた作品はたっくさんあると思うけど、長女と同じ丸顔のハリウッドスター女優の登場、彼女の葛藤を通じて、他に逃げずに家族どうしで向き合う方向へ…という流れの中で、それぞれの人物の心情が痛切に伝わってきます。

最後にみんなのことが愛しく思えてくるんですよね。後回しにしていた自分の大切な誰かのことを、忘れてないだろうか、と考えたくなります。

若い人にもお年寄りにも、忙しく働く人にも、どんな人にも勧められる作品だと思います。