映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2016-01-01から1年間の記事一覧

チャールズ・ラッセル 監督「マスク」1416本目

1994年作品、ジム・キャリーもキャメロン・ディアスも若〜い。 CGの効果が、今見ても違和感なく、ひたすら大げさで楽しい。 やっぱりこの映画は、ジム・キャリーとキャメロン・ディアスという二人のラブコメ俳優の才能が際立ってる作品だなーと思います。ジ…

山田洋次 監督「母べえ」1415本目

しんみりと哀しい映画でした。 状況はかなり厳しく理不尽なんだけど、母べえはひたすら愚直にまっすぐに夫を信じ、子どもたちを守り、働きぬきます。 キャスティングが・・・イメージ的にはまさにぴったりなんだけど、いくらなんでも吉永小百合は年齢的に上…

クエンティン・タランティーノ監督「ヘイトフル・エイト」1418本目

どんでん返しに次ぐどんでん返し。ゾクゾクする進行だけど、ドカドカ人が吹っ飛ばされるのもいつも通り。 西のタランティーノ、東の園子温、か? 黒人のサミュエル・L・ジャクソンや英国人ティム・ロスがいるのがそもそも変だけど、デイジー役のジェニファー…

ジョセフ・コシンスキー 監督「オブリビオン」1414本目

トム・クルーズは安定のカッコよさ、オルガ・キュリレンコとメリッサ・レオは安定の美しさだし、スタイリッシュな破壊的未来も素敵だけど、なんとなくあんまり入ってこなかった。人間ドラマが薄いからかな? そして、モーガン・フリーマンの存在感はいつにな…

藤田容介 監督「福福荘の福ちゃん」1413本目

大島美幸、おもしろいなぁ。 紛れもなく女らしい丸みがあるんだけど、語り口はあんまり性別を感じさせないですね。 水川あさみも、率直でいいなぁ。 どこか、軽く突き抜けたような、あったかくてやさしい光みたいなものが感じられます。インド料理屋のくだり…

トッド・ヘインズ監督「キャロル」1412本目

2015年作品。 これは名作、というか、ケイト・ブランシェットのキャリアの頂点になりうる作品になりました。 1950年代に、夫と娘を持ちながら女性を愛して、それを自分の中で肯定して、常に美しく凛としてあろうとした女性。それをこれほど魅力的な人物に演…

フランク・ダラボン 監督「グリーンマイル」1411本目

1999年制作作品。 3時間もあるけど、必要十分な感じ。最後まで自然にストーリーを持って行ってくれます。 死刑執行が決定した人たちの「グリーンマイル」が舞台という、重そうな怖そうなテーマなのに、人情あふれる刑務官たちのおかげで見ていて辛くありま…

佐々木昭一郎 監督「ミンヨン 倍音の法則」1410本目

最初、うわっ素人!ってドン引きしてしまった。せりふが棒読みすぎて。 この監督の番組は、2年くらい前に集中再放送したのを全部見たので、その特殊な純粋さ、美しさを知っていたけど、数十年たった今、ほかの映画の隙間にこれを見るのは強烈です。 だんだ…

ピエール・モレル 監督「96時間」1409本目

フランスの作品って書いてあったけど本当?って思ったけど(言語が英語だし)、リュック・ベッソンは紛れもなくフランスの人だし、リーアム・ニーソンはアメリカにいても無骨なアイリッシュだ。うん。ヨーロッパ。「ニキータ」や「レオン」のリュック・ベッ…

ジェームズ・マンゴールド 監督「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」1408本目

ジョニー・キャッシュっていうシンガーは日本ではあまり知られてない。 破滅型のカントリー・シンガーってくらいにしか私も認識してなかったので、人を殺して自分自身も刑務所に入っていた、みたいな人かと思ったら、麻薬中毒という以外は犯罪を犯す人ではな…

ギャスパー・ノエ監督「LOVE 3D」1407本目

3DじゃなくてDVDで見ました。 ふむ。確かに修正が強すぎて、生々しさはほとんど伝わってきません。 愛とセックスと、純粋さと邪心を真正面からテーマに取り上げた勇気を讃えたいと思います。 思ったほど背骨に響く怖さはなかった。愛を”こじらせて”相手も自…

テレンス・マリック 監督「天国の日々」1406本目

1978年、テレンス・マリック監督のデビュー作。 世界中で、おそらく太古の昔から起こってきた”三角関係のもつれによる犯罪”だけど、加害者でも被害者でもなく、彼らが愛した女性でもない第三者、感受性の強い少女の視点で語られるので、「天国の日々」なんだ…

ウェス・アンダーソン監督「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」1405本目

大変高く評価された「グランド・ブダペスト・ホテル」の監督の、かなり共通点の多い世界観が繰り広げられています。自分の好みではない、という意味で、三谷幸喜を思い出すのは私だけかしら。細かくクスリを笑わせようとするけど、頭を使って見る映画という…

ジョージ・ルーカス監督「アメリカン・グラフィティ」1404本目

なんと、コッポラ製作、ジョージ・ルーカス監督なんですね。スター・ウォーズ前の。割と、私の好きな、郊外の古き良きアメリカの世界なんだけど、最後が唐突に苦い。夢はいつか終わる(突然)ってことを、ことさら強調するのは、監督がまだ若かったからか?…

木下恵介 監督「香華」1403本目

1964年作品。田中絹代の娘が乙羽信子、その娘が岡田茉莉子って豪華! 花魁の娘が芸者になって、真剣な恋に落ちるけど成就せず、恋多き母を恨みつつ、つくし続ける、っていう物語。 切ないです。誰も報われない。花魁は芸者より”下”なのか、っていう問題じゃ…

クロード・シャブロル監督「いとこ同志」1402本目

1959年制作のフランス映画。 ヌーヴェルヴァーグっていうそうです。 救いがない映画が新しいと言われた時代。 フェリーニの作品みたいに、美しい人たちが華やかなパーティ@豪邸に集い、田舎から出てきた堅物青年が巻き込まれて破滅していく。フェリーニの中…

サム・メンデス監督「アメリカン・ビューティ」1401本目

構成が、サンセット大通りだ。主人公が落ちる相手が、あっちは年増、こっちは少女。あっちは仕事に計算ずく、こっちは自由を求めた。そして両方の映画とも、苦くて面白くて美しい。両方、その時のアメリカを映してる。ドリームワークスがこんな映画を作るん…

ロネ・シェルフィグ 監督「幸せになるためのイタリア語講座」1400本目

2000年のデンマーク映画。 デンマーク!! 英語かイタリア語の映画かと思ってた。NHKの語学番組みたいで愉快なタイトルだけで選んだDVDなので、まさかの雰囲気で笑いました。だって出てくる女性の顔だちが北欧すぎて。 しかし、イタリア語を勉強するデンマー…

オットー・プレミンジャー 監督「ローラ殺人事件」1399本目

1944年の作品。 これは面白い、素晴らしい映画でした。 ローラを演じるジーン・ティアニー、初めて見たけどなんて美しくて可愛いんでしょう。 彼女を取り巻く男たちも素敵。ドラキュラ役がはまりそうなクリフトン・ウェッブのダンディぶり、女ったらしのヴィ…

「ライヴ!CBGB 30thアニバーサリー ~CBGB 最強のパンク野郎ども~ 」1398本目

2003年、ニューヨークの老舗ライブハウスが30周年を記念して行ったライブのDVDだそうです。 その後わりとすぐに閉店したと思うけど。CBGBといえば、たとえばルー・リード、ラモーンズ、といった大御所(故人だらけ)のイメージが強くて、私も初めてNYに旅行…

セルゲイ・パラジャーノフ監督「火の馬」1397本目

パラジャーノフの映画の舞台は、映画ごとに地域や民族が違っているみたいで、この映画ではウクライナのカルパチア山地です。同日に見た「ざくろの色」は、神か!?と思うほど美しい顔の男女が出てきて驚いたけど、この映画の人たちは大変美しいけど土着感が…

セルゲイ・パラジャーノフ監督「ざくろの色」1396本目

1971年の作品。 10年くらい前かな、一度映画館で見たことがあります。そのときの印象が鮮烈で、その後も小さい映画館で上映するたびに、少しずつこの監督の映画を見てきました。いつかもう一度見たいと思っていたこの映画も、おとといやっと2回目を見ました。…

諏訪敦彦 「2/デュオ」1395本目

1997年の作品。西島秀俊が若い! なんだか、彼氏と別れそうになっている友達の家に行ったみたいな、親密でよそいき感のない映画。 彼女役は柳愛里という女優さんで、今は活動してないのかな。すごい美人ってほど目を引くわけではないけど、綺麗でちょっとも…

東陽一監督「だれかの木琴」1394本目

試写会に当たって見てきました。 夫に愛されて恵まれている専業主婦の常盤貴子が、ふと入った美容室の若い美容師をへんなふうに追っかけてしまって、ストーカーめいた行動にはしってしまう、というお話。 優しいストーカー(といえるかどうかわからないけど…

ジョナサン・デミ監督「ストップ・メイキング・センス」1393本目

1984年、今から32年も前の、もはやクラシックといっていい作品だ。 そのころ私はパンクのバカさに参っていて、この頭のよさそうな人たちのことが好きになれなかった。(気取りやがって、何がセンスだよ)その後音楽を聴く機会もあったし、この映画も一度見て…

庵野秀明 総監督「シン・ゴジラ」1392本目

見ましたよ。旬なうちに。 なんていうんだろう?ものすごく日本的な、生ニュースドキュメンタリー+その舞台裏映像みたいな映画だった。日本的な組織の弱さと強さを皮肉りつつも、映画自体が日本的な枠を強調してきわめて日本らしい。<以下一部ネタバレ> …

市川崑 監督「雪之丞変化」1391本目

1963年の作品。主人公、女形の大スター「雪之丞」を演じるのが、当時55歳の長谷川一夫なんだけど、美形にはちげぇねぇが女らしさが皆無だ。(←なんか変な影響受けてる) 一人二役で演じる「闇太郎」のほうは、典型的な時代劇の名優らしい、大層な貫禄だ。女…

ラース・フォン・トリアー 「メランコリア」1392本目

いやー、これは面白かった。 DVDの予告編がホラー映画ばっかりだし、ほかの人の感想を見たら「鬱になりそう」とかばっかりだったので、かなり心配してたけど、正気と狂気のあいだの、正気に近いほうの人が、すこし暗い夢をみているような、不思議で美しい世…

スティーヴン・スピルバーグ監督「タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密」1391本目

楽しかった。 ストーリーもよく出来てるけど、何しろCGに力が入っています。 モロッコの街角で、戦車が門をひきずってぐるぐる走り回る場面とか、CGでなければ実現できない自由な表現だと思います。しかしタンタンのイメージがちょっと違うなぁ。金髪だから…

ジャン=マルク・ヴァレ監督「わたしに会うための1600キロ」1390本目

リアルで痛い、実在の女性の道のりを描いていて、共感しました。 リース・ウィザースプーンが、あのお人形みたいなキューティ・ブロンドだった彼女が、汚れ役といえそうな役どころを誠実に演じています。むしろ・・・エンドロールに出てくる著者より、この物…