映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2016-01-01から1年間の記事一覧

ジョージ・P・コスマトス 監督「コブラ」1389本目

わりと最近の映画かと思ってたら1986年、なんともう30年も前! シルベスター・スタローンが、どうりで若い。 映画は、予想どおりだけど、さらにそれを超えるくらい、グラマー美人とマッチョがこれでもか、これでもか、とフィーチャーされていて、もう安心…

スティーヴン・スピルバーグ 監督「ブリッジ・オブ・スパイ」1388本目

スピルバーグとコーエン兄弟?? と思ったけど、映画を見てみたら、両方のシリアス路線がいい形でコラボしてるなと感じました。 スピルバーグは、どんなに重いテーマにもまっすぐ取り組むけど、希望をなくさない。 コーエン兄弟は、人間の可笑しいところをほ…

オリヴァー・ヒルシュビーゲル 監督「ヒトラー 最期の12日間」1387本目

ヒトラーは「ベルリン天使の詩」で感受性の強い男性を演じた、あのブルーノ・ガンツか。 「永遠と一日」で人生の終わりを静かに迎えつつある老人を演じた、あのブルーノ・ガンツか。すごい演技力だなぁ!しかし、この映画をいま(といっても2004年、12年も前…

増村保造 監督「卍」1386本目

1964年作品。 若尾文子と岸田今日子。なんと新藤兼人が、谷崎の小説を脚色したんですね。どうりで、じっとりと絡みつくような人間くささ。若尾文子ってほんとに、どうしてこんな役ばっかりだったんだろ。いまは深田恭子が(もともと容貌に共通点が多い気がす…

ダニー・ボイル 監督「スティーブ・ジョブズ」1385本目

なんと、ダニー・ボイルだったのか・・・ファンのつもりなのに知らずに見てしまった。 一部の人が駄作と呼ぶ「ザ・ビーチ」も十分味わって鑑賞した私ですが、この映画ばかりは褒めるのが難しい。 史上最大のバックステージ映画、とか呼びたくなってしまう。 …

マーク・フォースター 監督「ワールド・ウォーZ」1384本目

刺激的な映像、具体的には折り重なって打たれたり焼かれたりするゾンビの群れとか、が多くて、うゎ!って感じが強いけど、面白かったです。こういうのを見てもフィクションとして楽しめるくらいの大人にはなりました。思うに、これよりさらにエグいゾンビマ…

アンソニー・ハーヴェイ 監督「冬のライオン」1383本目

舞台の中世が、なんとなく古臭く思えて、なかなか入り込めなかったけど、人間ドラマとしてそれぞれの性格が際立っていて、なかなかの名作だと最後には思えました。ピーター・オトゥールはアラビアのロレンスだったはずなのに、ヘンリー王はずいぶんアクが強…

松木創 監督「映画 中村勘三郎」1382本目

本当に素敵な役者でした。 あまりにも急に亡くなってしまった、と思っていたのですが、この記録映画を見て、実際、直前まで当然のように仕事をされていたことがよくわかりました。 もともとはこまごまと、いろいろな番組のために撮られた舞台やインタビュー…

リドリー・スコット 監督「オデッセイ」1381本目

<ネタバレあり> あー苦しかった。 「ゼロ・グラビティ」も、感動しつつ、見てる自分の息が詰まりそうで大変だった。 それに比べれば、置いてけぼりのマット・デイモンにまったく悲壮感がない分、辛くないけど、数年間をどうやって過ごすか、ていうか生き延…

アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督「レヴェナント 蘇りし者」1380本目

あー辛かった。 この監督の作品は、胸をえぐるようなリアルな痛みが伝わって来ることがあるけど、今回も辛かった。 デカプリオ熱演で、恩讐の彼方にある復讐と、その瞬間に脳裏に降臨する「復讐のあとに何が」という命題をガッツリ悩んでくれます。トム・ハ…

松山博昭 監督「信長協奏曲(ノブナガコンツェルト)」1379本目

小栗旬のファンと柴咲コウのファンが見ればいい映画だと思う。 わたしが監督だったら、もっと彼らに野太い、脳天にガツーンとくるような芝居をさせてあげたい。照れもせずにキザなセリフを言う、あまりに小栗旬的な小栗旬、 ほっぺをふくらませて可愛くにら…

オーレン・ペリ 監督「パラノーマル・アクティビティ」1378本目

2007年の作品。 家庭用ビデオっぽい感じが、友達の撮ったものみたいで、見ててちょっと引き込まれる。まったくの普通の人にしては、女の子がなかなか可愛いし、友達の友達にいそうな感じ。しかし、全部で90分足らずなのに、まだかなー、まだかなー、で半分…

ポール・フェイグ 監督「SPY」1376本目

面白かった。大笑いしながら見ました。 この映画完全ノーマーク、いつ公開したの?と思ったら、日本未公開なのね。 TSUTAYAの動画配信の無料ポイントで見られるというので、全然期待しないで見たら大当たりでした。 CIA(ほんとかよ!)の敏腕エージェントた…

黒木和雄 監督「浪人街」1375本目

1990年の作品、今から26年前。 原田芳雄も樋口可南子も若者です。 なんとなくストーリーは理解できるけど、ものすごく激しくも、ものすごくいやらしくもなく、テレビドラマよりはちょっと激しいけど、特になにか感じるものはありませんでした。

スチュアート・ハグマン 監督「いちご白書」1374本目

「いちご白書をもう一度」の「いちご白書」。 「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」に出てくる「卒業」と同様、こどもの頃に大人の世界として憧れたものをやっと見られて嬉しいです。とても新鮮ですね。普通のあっけらかんとした若造が、わりとたまたま…

中村誠 監督「チェブラーシカ」1373本目

この映画の続編が日本で作られると聞いて、そもそもそんなのあったんだーと思ってこっちを借りてみました。 カワイイ。切ない。ダメだ。つまりチェブラーシカだ。アニメの作り方も、今回のはかなりCGを使ってるのでは?と思うけど、まったく違和感ないです。…

三木孝浩 監督「ホットロード」1372本目

独特の青い世界観のある作品だったなぁ。 原作がそうなのかな。 制服の長〜いスカート。家庭のことでグレる子たち。80年代の人気マンガが原作なんですって?自分の子どもくらいの世代の人たちの物語だと思って見てたけど、むしろ自分の世代の物語なのか。…

イ・チャンドン 監督「ペパーミント・キャンディ」1371本目

<ネタバレ的なコメント> モニカ・ベルッチが出てた「アレックス」って映画みたいだ。一番悪い現在の場面から、少しずつ、少しずつ、時間を遡っていく。最後に映るのが、最高に幸せな瞬間・・・という構成。 アレックスでは、見ている自分も”実際は逆に流れ…

スティーブン・スピルバーグ監督「カラーパープル」1370本目

<ネタばれあり> スピルバーグが社会派作品を作り始めたのが、この作品と言われてるんだそうで。 重いテーマなのでちょっと緊張して見ましたが、明るさの感じられる作品でした。 エンタメ系といっていいんじゃないかと思うくらい、わかりやすく、最後は明る…

ラリー・チャールズ 監督「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」1369本目

サシャ・バロン・コーエンが他の映画ではやりたいことがやれずに暴れたという話を聞いてたので、じゃあやりたい放題やるとどうなるのか?ということで見てみました。アメリカ文化学習って映画のはずなのに、最初の電車のアナウンスがイギリス式の「Mind the …

ロバート・ムーア 監督「続・名探偵登場/名探偵再登場」1368本目

この映画のことは知らなかった。1978年作品。 2年前に作られた「名探偵登場」(原題はMurder by Death)を見たときは、強烈に英国調だなぁ、と思ったけど、こっちは、その2年度の1980年に亡くなったピーター・セラーズが出てなくて、ピーター・フォークが…

ハワード・ジーフ 監督「マイ・ガール」1367本目

ほんのりと切ないような、暖かいようなものが心に残るけど、これは本当の気持ちか? 甘いデコレーションケーキみたいな人工的な味わいもする。 カルキン君はさらっとしてる分、気にならないけど、このお嬢ちゃんの、微妙に大人の目を意識した子どもらしい演…

スタンリー・クレイマー 監督「招かれざる客」1366本目

原題は「Who's Coming to Dinner?」。秀逸な邦題のいい例ですね! 1967年の作品だけど、キャサリン・ヘップバーンがもうおばあさんっぽく見える。 「アフリカの女王」でボギーと恋に落ちかけた”オールドミス”は16年前、まだ34歳だったのね。自分の娘が結婚し…

パトリック・モリス 監督「ネイチャー」1365本目

ゴリラの映像作家が作った同胞のドキュメンタリーか?象の映像作家が…(以下略)…と思うほどの視線の低さと親密さが、ちょっと衝撃。 媒体で見るなら、DVDじゃなくて絶対Blu-rayで見てほしい、本当はできれば4Kくらいで見たい、高精細の映像です。わりときれ…

フランソワ・オゾン監督「彼は秘密の女ともだち」1364本目

これもずっと見たかったんだ。 最近ありがちといえばありがちなテーマだけど、女性監督らしい繊細さで、丁寧に心のひだをたぐって描いた美しい作品でした。揺れ動くクレアを演じたアナイス・ドゥムースティエ がいい。可愛くて率直で、あまり前に出て行かな…

ソフィア・コッポラ監督「ブリングリング」1363本目

面白いとか学べるとかじゃなくて、きらびやかで美しいものをたまに見ることは大切だから。 それがこの映画を見る意味です。 しかしこんなに高いものを身につけるのって、よほど自分に価値があると思えなければ気後れしてしまいそう。 実際、奔放で美しい女の…

ジェリー・シャッツバーグ 監督「スケアクロウ」1362本目

さらっと淡くてあっけない映画だけど、ほのぼのと暖かいものが残る。 マックス=ジーン・ハックマンとライオン=アル・パチーノの、補い合う友情がね。 アメリカのバーの客のゆるさが好きだ。こんな街に住みたい・・・。

フランシス・フォード・コッポラ監督「カンバーセーション 盗聴」1361本目

1973年、コッポラの監督デビュー作、でしたっけ。 冒頭の場面がすごくいいですね。 普通の男女が話をしながら、人通りの多い街中を、ぐるぐる歩き回っている。 銃か?と思うとそうではなく、彼らをあちこちから狙っているのはマイクだ。彼らの声は、通信状態…

野口晴康 監督「大巨獣ガッパ」1360本目

なんでNHK BSプレミアムが繰り返しこの映画を放送しているのか。 名作ではないし、珍品というほどすごくはないし。 今まさにやばい、ちびクロサンボ的な、アフリカとアジアが混じったような原住民の描写。 やっぱり珍品扱いかな〜。山本陽子がすっごく可愛く…

シドニー・ポラック監督「コンドル」1359本目

面白かった。 音楽がアンニュイで70年代ニューヨークっぽい!と思って見たらデイブ・グルーシンですか。 日本の80年代のサスペンスドラマで踏襲された、アンニュイな都会の音楽。こういう音楽が使われることは、それ以降ほとんどないようなので、正確に時代…