映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ミヒャエル・ハネケ監督「セブンス・コンチネント」1285本目

第7の大陸、オーストラリアのことかな?6番目は南極らしい。
AustriaとAustraliaが「al」しか違わない、間違えられやすい遠い国ってところも、どこにもない楽園っぽくていいと思ったのかな。・・・と思ったら「ミヒャエル・ハネケの映画術」で監督が実際そんなことを話してた。

ハネケ版ヴァージン・スーサイズ。みたいな感じ。
暗号のような兆しのような、いろんな物が映し出されては後に壊される。意外と、1989年と古い作品だけど完成度が高いと感じます。役者さんも皆さん良いです。夫ゲオルグを演じたディータ・ベルナー、妻アナを演じたビルギット・ドル 、娘エヴァを演じたレニ・タンツァー。この女の子が一番印象に残ったなぁ。

成功している、人がうらやみそうな家庭の中で、何が死んでいったんだろう?
最後の破壊は形だけで、とっくの昔に、皮一枚はがせば内側は空洞だ。
世界に何十億も人がいれば、こんな風に壊れてしまう家庭も一つくらいはあるのかもしれない。

心がさむーくなって、見ているとこっちまで、すーっと生への執着が消えてしまいそうな映画だけど、これもいいんじゃないかな。