映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ベンジャミン・スタットラー 監督「ソークト・イン・ブリーチ カート・コバーン 死の疑惑」3001本目

これはカート・コバーンの死の真相を追求する映画か。突然鳥みたいに現れて去ってしまったスターで、妻のコートニー・ラヴは彼の同類のような印象だったから、彼女を疑った映画というのはちょっと意外。どんなスターの配偶者も必ず疑われるものだと思うけど、カートの書いた曲はどれも、まるでライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの映画みたいに「死に死に」していたので、自殺したと聞いて全く驚きはしなかった。

でも説得力もあるな。発見される数日前に、自分自身が探しに行かずに私立探偵に駆け込むなんて、ありきたりのミステリーみたいな行動だ。カートは本当に信じがたいくらいの才能があった。とても美しい人だった。彼を失ったことがとにかく残念だけど、なんとなく、平成の妖婦みたいなコートニーと結婚していなくても彼の運命は尽きていたのかもしれないし、何十億が惜しかったわけじゃないと思う。

天才ミュージシャンって例外なく悲しいな。としか言えないです。