映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

マイケル・ムーア監督「ロジャー&ミー」3160本目

かのドキュメンタリー作家マイケル・ムーアが生まれたのはこういう経緯だったんだ。GMの工場城下町で、工場の仕事をしている一家に生まれて、マスコミで働いた後に工場が閉鎖されたことでドキュメンタリーを撮り始め、GMの社長になんとかして取材を取り付けようとするけど何度突撃しても阻止され、クリスマスコンサートでスピーチをする彼に最後にやっと直接対決できた。けど想定問答のような乾いた二言三言だけだった。このときのフラストレーションがマイケル・ムーアに火をつけたのかな…。

この作品の制作は1989年。その後のGMは倒産寸前~再上場、と復活したと認識してるけど、フリントはどうなったんだろう。ググってみると2010年にGMがフリントで750人を再雇用したとか2015年にフリント工場に再投資とか、直近では2020年にフリントのトラック工場がコロナで部品不足なんて記事も見つかるので、工場はその後少なくとも一部は復活したように見えます。マイケル・ムーアが追っかけてたロジャー社長はこの映画のすぐ後、1990年に退任したらしいので、その時点で多少は方針が変わったんだろうか。

マイケル・ムーアにしてはまだマイルドな作品でした。この人の作品の情動操作感は好きじゃないけど、目の付け所がすごいし確実に面白いので、これから先も見て行こうと思います。

ロジャー&ミー(字幕版)

ロジャー&ミー(字幕版)

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