<ネタバレあります>
原題は「アブリルの娘たち」。アブリルの二人の娘がこの映画に出てきますが、17歳の娘が産んだ赤ちゃんも自分の子どものように育てていくという設定。
50代ながらまだセクシーで美しい母が、娘の男にまで手を出したり…という胸くそ悪い設定(失礼)に近いことを実際にやっている女性っているんですよ。それが原因で絶交した私の20年来の友人は、立派な夫と息子たちのほかに、ステディな愛人とつまみ食いする男たちがいるのにも関わらず、友人の婚約者も誘惑してた。誰かがいいものを持っていたら、奪わずにいられない。手に入れたあとは飽きて放り出す。…多分それは、衣食が足りているのに万引きをする依存症のようなものだったんじゃないかと思う。その人に仕事があったら、職場で権力をふるいたがる上司になって、どこかでストップがかかったかもしれないけど、家庭に閉じこもって罰を受ける機会がないままになっている人の暴走は、どうすれば止められただろう。
この映画の”毒母”は、白雪姫を毒殺しようとする継母の域に達してますね。一方、わずか17歳のヴァレリアはいつのまにか大人の顔になって、どんな目にあっても諦めずに探し続けます。ほんとに…この監督、この映画を撮ったときまだ37歳ですよ。たいがいの男性が一生気づかないまま過ごすような主婦の深い闇をどうしてこんなにリアルに描けるんだろう?「或る終焉」も60歳くらいの介護経験者でもなければ作れなさそうな作品でした。私が見た2本とも、終わり方がミヒャエル・ハネケっぽいと思ったら、インタビュー記事で大好きだと答えてました。
しっかしマテオは「本当(En serio)?」って何回言うんだ。流されるばっかりの受け身な男の子だよなぁ…。上記監督インタビューによると、「受け身こそが最大の悪だということも描きたかった」そうです。「ゲッペルズと私」の解説にもそんなこと書いてあったな、まだ見てないけど…。