映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジャック・タチ監督「パラード」2981本目

ジャック・タチの映画は8年前、2013年に一気に何本も見たっきりになってる。なかなか見られないものも多くて…。DVD化されなかったこの作品をU-NEXTが今週から配信するという宣伝を見て、さっそく見てみることにしました。

ジャック・タチって、ボードヴィル伯父さんだなぁ。大きくてパントマイムがうまくて。(特にボクシングと、テニスのスローモーション最高)彼の作る作品は楽しくて夢と驚きがある。

で、この映画はまるごと「ジャック・タチ・フェス」ってところですかね。動物の芸やジャグリング、マジックあり、子ども向けの演目あり、クラシックな室内楽と曲芸がからんだり、サイケな感じのバンド演奏でみんな立ち上がって踊ったり。(ピアノから「とび箱」に変身したはずだったものが、その後オルガンの音になったりしてる)

コミックバンドみたいに茶々入れあいながら演奏するバイオリン、コントラバス、ギターのトリオは、シリアスな見た目なのにだんだん「レッツゴー三匹」に見えてくる(懐かしい)。かつ、何が何でも裏方たちを表舞台に出させて芸をさせる。彼は”働く人々のリズム”が好きですよね。「プレイタイム」とかも働く人たちが音楽に乗って流れる場面があった気がする。

子どもや、子どもの心をもった大人たちがみんな目を輝かせて楽しめるものを作り続けた、夢見るおじさんだったんだなー。

この作品、見られてよかったです。

(サーカスっぽいテーマ曲が流れると、モンティパイソンが始まる気がしてしまって、いきなり踏みつぶす脚とか悪いのが出てくるのを期待してしまう)