やっと原作が読めたので、VODで再見。
映画は現実より美しく撮ってある、と言った人がいた。その通りだなと言わざるを得ない原作でした。アマゾンもキャンプサイトも仕事は相当苛酷で、かなり頑健なおばあちゃんたちでも音を上げるような重労働。時間を短縮するとか…なんかないもんかと思うけど、アメリカは何にしろ甘くないようだ。
映画の美しい部分にばかり目を奪われてたのかな、私は。今見返してみてもやっぱり美しくはあるんだけど。それに、フランシス・マクドーマンドとデヴィッド・ストラザーンが完全に溶け込んでいて、おかげで見てる者もその場にいさせてもらってるような気になる。やっぱり、この連帯感はすごい。これはアメリカというものなんだろうな。後ろを向いて泣いてるひまがあったら、ずんずん突き進む。おばちゃん達のたくましさといったら。
原作を書いたのはコロンビア大で教鞭をとっているバリバリ現役でうまくいっている若い女性なので、原作者より映画をプロデュースした60代のマクドーマンドの方がシンパシーを持ててるのでは?と思う部分もあります。映画ではもっと達観した、諦念がある。音楽もいい。アジアの映画の音楽みたいに静かでしんみりする。ノマドの最大のサポーターであるフランシス・マクドーマンドのアバターが企画して、クロエ・ジャオがアメリカの大地と開拓の民の美しさを形にした。ジェシカ・ブルーダーには見えていなかった部分にも光が差してきた。
というわけで、結論としては、原作と映画はわりと別物で、この映画はマクドーマンドがアメリカの大地とひとつになる映画だったのでした。それで良いのです。