映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ホウ・シャオシェン 監督「冬冬の夏休み」2596本目

冬冬って名前は冬生まれなのかな。その子の夏休みのお話なんだ。

トントンとティンティン。お兄ちゃんはしっかりしてて妹は幼くて可愛い。見てるだけで顔がほころびます。

卒業式から始まるんだけど、授業とかの思い出をひとつひとつ読み上げていくのって、日本と同じだな。(これに他の生徒たちが声を合わせて「うんどーかい」とか唱和するのは多分日本だけ…このあいだ「チコちゃんに叱られる」でやってたな)

ほかのレビュアーのみなさんも書いてるけど、ほんとに懐かしい。子どもたちの感じが自分の小さいころと同じ。私が初めて台湾に行ったのは1997年あたりだと思うけど、台北の女性たちはまだパーマが強くて日本人と区別がついた。今はまったく区別付かないです、東京も台北もソウルも。この映画が撮られた1984年頃、東京はバブルまっただなかだから、大人の女性の風貌はその当時の日本よりちょっと昔ふうだったんだろうな。

しかし美しい北京語ですね。私が中国語を第二外国語として選んだ1984年頃に作られた映画だそうですが、熱心な学生じゃなかったし当時は全然知らなかったなぁ。

プレステの「ぼくのなつやすみ」は2000年。「菊次郎の夏」は1999年。直接関係はないかもしれないけど描いてる世界は同じ。もっというと「フェリーニのアマルコルド」だって「父パードレ・パドローネ」だって似たようなもんだ。男は古今東西みんな少年時代を懐かしむ。(女は?こうやって見ると懐かしいけど、あまり後ろは見ないんじゃないかな、女は…?)でもこの映画は、これが自分の映画だったらいいのに、と思うくらいなんだか大切な愛しいものを見た感じがしますね。終始、淡々としてるところが、自分の経験みたいで事実っぽくていいんだろうな。