この監督の映画はもう何本か見たので、大きな不幸とか予想しないでのんびり楽しめたけど、初めてだったら子どもなりの緊迫感や恐怖を自分のものみたいに感じて、けっこうツライ感じで見てしまったかも。大人たちはみんな、無意味に自分の威厳を保つことしか考えていなくて、子どもたちはあっちに、こっちに、と振り回されるばかり。「大岡裁き」ができる大人は一人もいないのか?
宿題は何に書いてあってもノートだし、懐に煙草があるのに何度も探しに行けという祖父の言うこともめちゃくちゃだ。同じノートに書いて成長を見るのは確かに意味があるけど。その一方の友達思いのアハマッドの優しさで、見ている人はほっとする。
だけどそれもこれも、ゆったりした時間の中で、神様の気まぐれみたいにゆらゆらとしえいる。教育も見栄も、すべてはジグザグの道の上、砂っぽい風の中…みたいな達観がある。大人たちから見れば、学校を退学になることなんて大したことじゃないのかもしれないしな…。
でも、友情が友だちに届いてよかったよね。