映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

片岡翔監督「この子は邪悪」3759本目

<ネタバレあります> TSUTAYAの企画コンペ入賞、と聞いて、誰が企画してどのように映画化されたのか?と思ってTSUTAYAのサイトを見てみたら、片岡監督自身の企画で、彼自身が脚本と監督をやったんですね。監督としては初めての作品だけど、商業映画の脚本を…

武内英樹 監督「翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて」3758本目

国内便のフライトでも、羽田那覇便くらい距離があると映画1本見てしまえる。・・・はずだったけど、疲れた帰路だし空港でオリオンビールを飲んだとなれば、途中で寝てしまうのは当然・・・最初は「今回も超おもしろ!」と盛り上がってたのに気を失っていた…

関根光才 監督「燃えるドレスを紡いで」3757本目

いま旅行で那覇にいるのですが、今回は「暮らす旅」という趣旨でウィークリーマンションに滞在していることもあって、国際通りの裏道をぶらぶら歩いていたら「桜坂劇場」という、いかにもいい映画やってそうな映画館に行きあたったので、ちょうどいい時間か…

アキ・カウリスマキ監督「コントラクト・キラー」3756本目

冒頭に大写しになる男、ジャンピエール・レオに似てるな、そういえば「ラ・ヴィ・ド・ボエーム」にも出てたな、監督はこういう人が好きなんだなー・・・じゃなくてこれも本人でした。(なんでいちいち勘違いするんだろう、私)(だってカウリスマキ監督の映…

アキ・カウリスマキ監督「白い花びら」3755本目

サイレントの白黒映画。映像に古さはないけど、音楽+文字だけの画面なのでクラシック感があります。もともとセリフがあっても一言もわからないフィンランド語なので、この形式になってもほとんど違和感ありません。 カティ・オウティネンさんは、育ててくれ…

アキ・カウリスマキ監督「真夜中の虹」3754本目

邦題いいですね。もともとのタイトルは船の名前だけど、それだと日本人にはピンとこない。父親も相棒も亡くして仕事もない、お金もない、しかも脱獄囚だ。だけどいい女と出会えて、これから二人で南へ向かう船に乗る、そこに「オーバー・ザ・レインボウ」が…

新海誠 監督「すずめの戸締まり」3753本目

これ見てなかった。テレビで映画を見るのは久しぶりだけど、たまたまノーカットで放送してたので見てみます。 ハッピーな学園ものみたいな登場人物たちで始まるけど、新海誠だ(天気の子以来だから、なんと5年ぶり!)。そこまで楽天的ではないだろう。と思…

ビクトル・エリセ監督「瞳をとじて」3752本目

「ミツバチのささやき」「エル・スール」をVHSで探し出して見たのがもう11年も前。この監督の作品は、じゃあアマプラで再見しよう、ということができない。今でも昔の作品をなかなか見る機会のない監督です。 この新作映画の印象は、なんとなく、11年前の印…

ビクトル・エリセ監督「ミツバチのささやき」3751本目

(見たのは2013/6/26、VHSレンタル。なぜかこのブログに書いてなかったので記録しておきます。) 1度見ても良さがわからなかったので、解説や他の人の感想を読んだ後もう一度見ました。そうやってみないとわからない映画が、私の場合三分の一くらいあり…

アキ・カウリスマキ監督「ラ・ヴィ・ド・ボエーム」3750本目

わかりやすい映画だった、カウリスマキ監督にしては。 「ラ・ボエーム」は権八と同系列のカフェ、じゃなくて、プッチーニの有名なオペラで、ボヘミアンな男女のうち薄幸のミミが病死するのは既知なので、「ロミオとジュリエット」のようにこの筋をベースに見…

アキ・カウリスマキ監督「愛しのタチアナ」3749本目

わずか62分の作品だけど、たっぷりとカウリスマキ監督の世界を味わえます。 いつものマッティ・ペロンパー(アル中)とカティ・オウティネン(エストニアからの旅行者)に加えて、レニングラード・カウボーイズのマト・ヴァルトネン(コーヒー中毒の仕立て屋…

原田眞人 監督「魍魎の匣」3748本目

U-NEXTに追加されていたので見てみました。勇気を出して、がんばって原作を読んだのは7年前。おどろおどろしく、独特の世界観が徹底していて、かなりはまって読んだ記憶があります。 この映画はロケ地が美しい。上海なんですって?みごとなロケ地です。昭和…

アキ・カウリスマキ監督「ハムレット・ゴーズ・ビジネス」3747本目

カティ・オウティネンさん(オフィーリア)が、名画”オフィリア(の川流れ)”のポーズで浴槽に沈む・・・。 この作品のハムレットはなかなか悪いやつなんだけど、その友達はもっと悪くて、いい奴なんてあんまりいない映画でした。今世紀になってから流行して…

アキ・カウリスマキ監督「カラマリ・ユニオン」3746本目

カラマリってフィンランド語でもイカのことなんだ。このフランクの群れはフィンランドのイカ漁組合、ってことかな。彼らは現状の生活に行き詰まりを感じていて、町の反対側にある「エイラ」という場所を目指すけど、なぜか次々に殺されていく。 1回流して見…

カール・テオドール・ドレイエル 監督「裁かるるジャンヌ」3745本目

1928年、ほぼ100年前の作品。 この映画、「午前0時の映画祭」かな?オンライン配信で最後まで見損ねて、そのままになっていました。長年、いつか見ようと思ってて。これくらい古い作品だとYouTubeや廉価DVDで見られたりするけど、画質がひどかったり日本語字…

塩田明彦 監督「春画先生」3745本目

愚かな恋をしたり性愛におぼれたりするのは、男も女も平等。・・・しかし、ふつうのまじめな女の子が中年男に惚れてしまって妙な道をまっしぐら・・・というのは、ホストに入れ込んで売春から抜け出せなくなる若い娘を見てるようで痛々しくもある、日本以外…

佐々木美佳 監督「タゴール・ソングス」3744本目

公開当時この映画が気になってたのでした。この作品は題材も舞台もわりと地味で新人監督の作品なので、見逃してもおかしくないけど、見つけられてよかったです。 何年か前にタゴールの詩集「ギタンジャリ」を読んだのは、瞑想に凝ってた頃にどこかで見たのか…

アキ・カウリスマキ監督「トータル・バラライカ・ショー」3744本目

まずタイトルがいいよね。バラライカという楽器は、ビートルズの「バック・イン・ザ・USSR」でもロシア(当時はソ連)を象徴する楽器として歌詞に使われてたっけね。このコンサート、当時友達からCDのサンプル盤をもらったので何度も聞きました。映画だった…

ピーター・クリフトン 監督「レッド・ツェッペリン 狂熱のライブ」3743本目

何で今まで見てなかったんだろう。ハードロック世代とパンク世代のはざまで育って、同い年でもパープルツェッペリン、あるいはストーンズからブルースやジャズへと行く人たちに背を向けてパンクに走った最年長のパンク世代だと思うのですが、教養としてこの…

ジャック・ニコルソン監督「黄昏のチャイナタウン」3743本目

「チャイナタウン」の二匹目のどじょうだそうです。どこもチャイナ出てこない・・・と待って47分経過後にやっと現れるチャイナマン、めちゃくちゃ見覚えあると思ったらやっぱりエブエブのジェームズ・ホンですね。前作「チャイナタウン」も、彼の存在と、ジ…

鈴木清順監督「カポネ大いに泣く」3742本目

すごく不思議な、変な映画だった。萩原健一がブルースではなく浪花節をがなりたて、遊女の田中裕子(びっくりするくらい綺麗)がアメリカのドレスを身に着け、沢田研二はあやしげな興行師をやっている。場面場面のつながりが希薄だったり、ストーリーが全然…

ティン・プー 監督「ヴァル・キルマー 映画に人生を捧げた男」3741本目

U-NEXTに入ってたので見てみました。「トップガン・マーヴェリック」で見た彼の姿はなかなか衝撃的で、ちょっと感動した。俳優魂だなぁ、どんな状況になっても、今の自分のままカメラの前に立つのって。 この映画によると、彼には才能豊かな兄弟がいて、子ど…

島耕二 監督「宇宙人東京に現わる」3740本目

この星型の「ヒトデに目」みたいな宇宙人キャラの可愛いこと! 宇宙船の効果音とか、小さい頃浴びるように見ていたウルトラシリーズを思い出します。だからいいの、これはチープなんじゃなくて昭和レトロなの。なんの違和感もなく見てしまえる世代ですけどね…

松山博昭 監督「ミステリと言う勿れ」3739本目

テレビ版を見てました。いろいろムリムリな設定やトリックばっかりなんだけど、私は「土曜ワイド劇場」を見て育った女。テレビのサスペンスドラマの空気感が好きなんですよね。今いちばん勢いのある素敵な役者さんたちが勢ぞろいしているという魅力もありま…

阪本順二監督「せかいのおきく」3738本目

ずっと「せかいのきおく」だと思ってた。江戸の武家の娘が中心の世界なのか。そう言われてみると、半径3メートルくらいの狭い世界が世界のどこにでもある普遍的なもののように思えてくる。 佐藤浩市と寛一郎が厠の中と外で会話してた。息子のほうはまだきれ…

松浦弥太郎監督「場所はいつも旅先だった」3737本目

暮しの手帖もと編集長の松浦弥太郎が監督したドキュメンタリー。 ツアーでなく個人で旅行するときは、海外にかぎらず国内でも、いろんな場所にのこのこ出かけていったり、行きつけの店ができたりするのも楽しい。 私はどんな旅も好きで、いわゆる名所は膨大…

児玉進監督「乱れからくり」3736本目

1979年の作品。主役の新米探偵に松田優作、その事務所の所長が野際陽子、刑事が田中邦衛。渦中の一族のメンバーは沖雅也、篠ひろ子、結城しのぶ、峰岸徹、老けメイクの岸田森。・・・と、素敵な役者さんたちの全盛期が見られてときめきます。映画全体の印象…

ミシェル・アザナヴィシウス 監督「キャメラを止めるな!」3735本目

日本人プロデューサーとして怪しさ100%で登場する竹原芳子と、役名がぜんぶ日本人のままなのが可笑しかった。日本軍の施設と無理に言い張るところとかも・・・。30分1シーンの冒頭は、オリジナル版のほうが緊迫感あったんじゃないかな? かなり忠実な(笑…

ベン・スティラー監督「リアリティ・バイツ」3734本目

この映画は私とほぼ同世代だけど、1993年のこの映画のことはまったく記憶がない。「マイ・シャローナ」とか、ピーター・フランプトンのカバー曲とか、懐かしい曲も多いけど、思い出せないものもある。私はこの時代たぶんアメリカよりUKと日本とワールド・ミ…

イ・ファンギョン 監督「7番房の奇跡」3733本目

韓国で大ヒットし、映画賞をごっそり持って行った作品、らしい。 私はインドネシアから来た女性から勧められて見ました。日本ではそれほど知られてない韓国映画がインドネシアで人気だという事実が興味深いけど、韓流好きの彼女が韓国でなく日本で学んでいる…