映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

田中征爾 監督「メランコリック」2493本目

主役をやってる「One Goose」の一味の皆川暢二って、ココリコ田中っぽく(演技も雰囲気近い)ガタイがしっかりしてるけどなんとなく安定感を欠いてる感じの存在感もいいです。気が小さそうなのに、あんなことをさせられても大枚積まれて嬉しそうにしてたりす…

ジェイソン・ライトマン監督「タリーと私の秘密の時間」2492本目

地味な作品ですよね。でも共感する人が世界中に何億人がいるはず。子どもを育てたことのある女性、育児中の女性のすべてに話しかけてくる映画だと思います。 ライトマン監督って「ジュノ」の監督なんですね。あの映画はよかったなー、可愛かったなぁ。けなげ…

サミュエル・コラルデ 監督「北の果ての小さな村で」2491本目

アイスランドより北のグリーンランドの話だ!アイスランドは一つの国だけど、グリーンランドはデンマークの一部です。グリーンランドに比べれば、北海道は南の島。かなりの地表が氷で覆われてます。去年アイスランドで初めて氷山や流氷を見て大興奮してしま…

佐古忠彦 監督「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」2490本目

丁寧な映画でした。カメジロー、男だね!カッコいい。 南アフリカにネルソン・マンデラやスティーヴ・ビコあり、沖縄にカメジローあり。アメリカは南アにおける彼らと同じものをカメジローの中に見たから、これほど目を付けたんだ。めちゃくちゃ熱く、正論を…

ルイス・オルテガ 監督「永遠の僕のもの」2489本目

なんとなく、タイトルとDVDビジュアルからフランス語の映画かなという印象を持っていたので、いきなりスペイン語でちょっと面食らった。でも製作ペドロ・アルモドバルだしセシリア・ロスが出てるし、原題は「The Angel」というのを見てなんとなく納得しまし…

RKSS監督「サマー・オブ・84」2488本目

フランソワ・シマール、アヌーク・ウィッセル、ヨアン=カール・ウィッセルの3人による「RKSS (Roadkill Superstars)」という最低な名前の映画監督ユニットによる作品。 トラウマ映画として知られているので、おそるおそる見てみましたが、これはじんわりと…

ダニエル・ギル監督「モダンライフ・イズ・ラビッシュ ロンドンの泣き虫ギタリスト」2487本目

iPhoneで音楽を聴きながら、スタバのラテを持ってオフィスに通う、そういうモダン・ライフがラビッシュ(くだらない)ってことね。それに対する言葉は「オールドファッション」。音楽はLPで聴く、コーヒーは喫茶店のカップで飲む。そういうこだわり青年が、同…

マーク・ギル監督「イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語」2486本目

劇場で見逃した後、いつソフト化されるのかと思っていたら、とっくになっていました。KINENOTEのアラートって一度も上がったことないな。 モリッシーとジョニー・マーのスミスは、大学生の頃の私たちの憧れで、バンド仲間とよくテープを貸し借りしたもんでし…

ロン・マン監督「カーマイン・ストリート・ギター」2485本目

カナダ映画となってるけど、舞台はニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジにある手作りギター店。この店に1週間張り付いて、ギター制作者リック・ケリーと事務員の母親、見習いのシンディと、店に来る人たちのなりわいを撮影した、シンプルなつくりのドキュメ…

奥山大史 監督「僕はイエス様が嫌い」2484本目

タイトルで興味をひかれてました。見てみたら、いろんな点でとても興味深い作品でした。 ・まず、娯楽作品として面白かった。 ・イエスの設定が「聖おにいさん」みたいにフラット。(最後なんかまるでモンティパイソンだ)教会に通ってたおじいちゃんのため…

イェジー・スコリモフスキー監督「出発」2483本目

冒頭からクールです。白黒の、黒が多い画面に光る街路灯とヘッドライト。ヨーロッパの巨匠の初期の作品、という尖った趣き。 インチキドライバーは「大人は判ってくれない」のあの少年。どんな大人になるのかと思ったら、こうなってました。破天荒な役柄です…

ブラッド・アンダーソン 監督「マシニスト」2482本目

サスペンス映画でいうところの「サスペンス」部分だけを突き詰めて、どうやったら不穏で怖くてドキドキする作品を作れるか?に徹した映画だと思いました。 冒頭に、クリスチャン・ベール演じるマシニストが何か大きな死体のようなものを海に投げ捨てるシーン…

テレンス・マリック監督「ニュー・ワールド」2481本目

これもまたテレンス・マリック。彼の映画にしてはナレーションが少なく、リアルタイムの会話でストーリーが語られる映画です。 マリック監督は、訴えたいことがたくさんあるんだな。「トゥ・ザ・ワンダー」もアメリカ人とフランス人が出会って、異国での生活…

ベネット・ミラー監督「マネーボール」2480 本目

面白かった。ブラッド・ピットのいつものふてぶてしい、不貞腐れたような演技が、ビリー・ビーンによく合ってる。数字に強い相棒を演じるジョナ・ヒルも、空気読まない秀才らしくて良いです。実話ってところがなにしろすごい。アメリカって昔からスポーツに…

テレンス・マリック監督「トゥ・ザ・ワンダー」2479本目

テレンス・マリックの映画って、詩だよなぁ…。テンポがやさしくて、うっとりする。オルガ・キュリレンコやレイチェル・アダムスはもちろん、ベン・アフレックまで美しく見える。 すごく変なことをいうと、カメラの視点が幽霊みたいなんだ。被写体たちと同じ…

フランシス・フォード・コッポラ監督「テトロ 過去を殺した男」2478本目

パッと見、コッポラの映画に見えない。コントラスト強めの白黒映像、スペイン語が象徴的にとびかう町…ルイス・ブニュエルみたいだね。スペインが誇るカルメン・マウラ(ペドロ・アルモドバル監督の常連)やマリエル・ヴェルドゥ(「天国の口」など)、ロドリ…

アダム・マッケイ監督「アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!」2477本目

マーク・ウォルバーグが出てるともうエロコメディしか期待しなくなってる…(cfテッド )ウィル・フェレルってあまり知らなかったけど、面白い。何やっても面白い。真面目な顔してるほど面白い。 妻の母が夫と間に立って、ベッドでやりたいことをそれぞれ勝手…

後藤俊夫監督「オーロラの下で」2476本目

なんでこの映画見ようと思ったんだっけ。ヤクーツクに行きたいと思ったからか、ニキータ・ミハルコフの監督作品と勘違いしたか。それとも、まだ見ぬオーロラに憧れてリストに追加したか。 ロシア人ばかりが画面に出てくるけど、トーンは日本のドラマのようで…

アルフレッド・ヒッチコック監督「マンクスマン」2475本目

1929年の作品。同年の「恐喝」が(イギリス発といわれている)トーキーで、これはサイレント最後の作品。ヒロインは2本とも、可憐なアニー・オンドラ。「恐喝」のほうは後ろ暗いところのある女性の役で、こちらも二人の幼馴染の男性のあいだで心が揺れる女…

ジャレッド・ヘス 監督「ナチョ・リブレ 覆面の神様」2474本目

長ーい国際線の機内とか、ビジネスホテルで寝付けないときとか、コロナで家から出られないときとかに安心して見られる、単にバカバカしく予想可能な笑いの映画です。多分、うつのときに見ても腹も立たない。 ジャック・ブラックってオレオレな感じだけど、愛…

ロバート・シオドマク監督「らせん階段」2473本目

おお。冒頭いきなり、らせん階段を上から見下ろした構図から始まります。女性が一歩一歩、用心深く、手すりを頼りに降りていきます。外はすごい嵐。 次の場面は人より少し早いスピードで追い越していく映像。撮影にこだわる監督ですね。全体的に、とても丁寧…

箱田優子監督「ブルーアワーにぶっ飛ばす」2472本目

夏帆とシム・ウンギョン。のっけから、調子乗った業界人っぽい夏帆、突然現れてパフェ食べて酔っぱらいみたいにハイテンションなシム・ウンギョン。私自身が「これから遊ぶぞー!」というテンションだったらいいけど、音声レベルが一定じゃないので何言って…

デイヴィッド・リンチ監督「ブルー・ベルベット」2471本目

満を持して?いまさらの?ブルー・ベルベット鑑賞。 あれほどリンチ監督の作品を、ツイン・ピークスの最初のシリーズから何からさかのぼって見たのに、この映画は20年前とかに見てそのままになってました。今見るとまったく、ツイン・ピークスやマルホランド…

キャロル・リード監督「落ちた偶像」2470本目

1948年のイギリス映画。これは画質が悪い…。1枚当たり160円のDVDなのでリマスターなどしているわけもないんですが。この頃の作品で映像がクリアなものもあるので、ちょっと残念。内容はなかなかブラックで見ごたえがあるだけに。 執事が不倫相手と密会する…

ジョージ・キューカー監督「椿姫」2469本目

誰もが引きこもっているこの時期。Amazonプライムで映画を見てればいいんだけど、私のネットは使用料の上限が決まっているので、そろそろやめといて、こういうときのための買い置き”コズミック出版”DVDを鑑賞することにします。 椿姫は様々な人たちが演じ、…

アルム・パッタライ監督「ゲンボとタシの夢見るブータン」 2468本目

Amazonプライムビデオ、ありがたいなぁ。ソフト化されてないこういう作品でも見ることができて。劇場公開したとき見たいと思ったんだけど、機会を逸していました。 子どものころから憧れてたブータンにやっと行ったのは2003年。王様は先代で、まだ誰もが民族…

フェデリコ・フェリーニ監督「フェリーニのアマルコルド」2468本目

この作品ってほかと違いますね、ジャケットがビートルズのサージェントペパーズみたいで。一方、映像の雰囲気は、いつもみたいな貴族の館じゃないしマルチェロ・マストロヤンニも出てこない。ニュー・シネマ・パラダイスみたいな、市井の人たちの町だ。いや…

スティーブン・ソダーバーグ監督「コンテイジョン」2467本目

多分これ見るのもう3回目くらいだと思う。映画館に行きたい気持ちを抑えるために、もう一度見てみた。細かいところわりとよく覚えてるんだけど、改めて見てみると、アメリカ人って普段から全然マスクしてないんだなー。マスクだけで感染が抑えられるわけで…

鈴木卓爾 監督「嵐電」2466本目

ぼんやりした映画、と思う人もいるかもしれない。私はこの雰囲気が嫌いじゃない、体質に合うけど、ちょっと物足りないところもある。 たとえば、井浦新が8ミリ少年とコーヒーを賭ける場面は、その後のコーヒーを囲んだ談笑が一番見たかったんだけどな~。行…

白石和彌 監督「凪待ち」2465本目

元SMAPたちを汚してみる映画シリーズ2本目。この映画はどうも、隙間が多くて間が持たなかったなぁ。香取くんは「可愛いろくでなし」というより、「バカじゃないけど中毒気質のくず」に見えて、なんで誰も彼をもっと叱らないのか不思議だった。 それより、香…